カンニングを奨励する学び方

京都大など4大学の入試問題がインターネット質問掲示板に投稿された、カンニング事件が話題になっています。

僕が今、オンライン大学である、ビジネスブレークスルー大学で行っているマーケティングの授業はけっこうユニークです。なにしろ、課題はカンニング推奨なのですから。とはいえ、いくつかの学習理論をベースにしています。「これからの学び方」のひとつの事例として、この取り組みを紹介したいと思います。

この授業は、授業であって、授業ではありません。設定は、売上沈む、とある旅行会社の商品企画部に配属されるというもの。学期中は、5~6人の学生がバーチャルにチームをつくり、この旅行会社の売り上げに貢献するような斬新なパッケージツアーを企画します。最後に、その企画書を提出する必要があるのです。

まさに、実際に仕事をする感じです。

僕は講師ではなく、商品企画部長
TA(ティーチング・アシスタント)は、商品企画課長
学生は、課の戦力、すなわち、メンバー
毎週の授業は、授業ではなく、会議

というわけです。

TAのみなさんは、現役のマーケターで、彼らから頻繁にフィードバックが貰えるという贅沢な環境です。仕事で上司から逐一フィードバックをもらえるのと全く同じような状況を大学で作り出しているわけです。

この頻繁なフィードバックというのがポイントです。僕たちが何かに熱中するときのひとつの鍵は、フィードバックがすぐ返ってくることですよね。テレビゲームに夢中になるのは、アクションに対してすぐリアクション=フィードバックがあるから。facebookにはまるのは、投稿に対して友達がスグ、レスしてくれるから。

大学でビジネス系の授業というと、どうしてもビジネスの現場感が失われガチ。そこを、バーチャル会社という考え方で、リアルな舞台設定、リアルなマーケターをオンライン上で実現できるのは、うれしいことですね。

すべてのディスカッションはオンライン上で行われていて、他のチームが何をやっているのかも、すべて透明で丸見栄です。で、このクラスでは、他のチームが何を議論をしているか、そこから何を学べたかを考えることを奨励しています。

学生のみなさんは、「スパイ行動」と称して、楽しく他のチームメンバーの活動を覗きにいっています。

実際、最終課題では、他のチームの企画書をよくするためのアイディアを投稿すること、また自分たちの企画書にきちんと他のチームからの意見を反映することを、ひとつの重要な評価基準にしているくらいです。だからカンニング推奨、というわけです。

この学び方もあくまでも、ひとつの方法。学び方ってじつは色々であっていいんですよね。センター試験や大学入試至上主義になってしまう高校生や大学生は、こうした学びの多様性を楽しむ感覚が狭まってしまうんじゃないかと少し心配!
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2011-03-06 : 学び方論 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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プロフィール

T. Wakasugi

Author:T. Wakasugi
1977年東京生まれ。幼少時はロンドンで過ごす。もともとはバリバリのエンジニア志向で統計モデルを駆使した分析をしていた。ところが、数値ではさばき切れないビジネスや人間の奥深さに気づくようになり、外資系の戦略コンサルティングファームに勤務。社会人向けスクールの講師として人材育成にも携わる。その後、ロンドンビジネススクールに留学し、リーダシップ・組織・心理学について学びながら、欧州生活を家族で謳歌。現在はロンドンで経営コンサルティングと教育プロブラムを提供。ビジネスブレークスルー大学講師。学びは21世紀、最高のエンターテイメントと実感しつつ、日々精進中。最近はヨガ・瞑想にこっています。弱点はお酒が弱いこと。こんな感じですが、よろしくどうぞ。コメント、質問、MBAなどの相談など大歓迎。twk.lbs@googlemail.com

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