企業変革の被害者からの視点

Managing Changeの授業もそろそろ、終盤戦。今までの必修科目に比べて、選択科目のクラスの雰囲気はガラッと変わり、それそれは新鮮です。

というのも、このクラス、MBA2年生に加えて、Executive MBAの学生、さらに四分の一くらいが交換留学生が交じっているため、一段と議論が活発、面白いものになっていると感じます。とくに、Managing Changeのようにヒト系の科目の場合、シニアなExecutive MBA生がいるというのは、きわめてプラスに働いていると思います。

この授業は、Changeについて、トップによる変革、ミドルからの変革、大企業における変革などさまざまな角度からChangeについて理解を深めていきます。

その中で、とくに面白いのは、変革を受け手からみる視点。 正直、これはスゴイ視点です。

変化、変革というと、多くの場合、どう組織を変えるか、どう業績を上向かせるか、どうリストラをするか、という変化を「起す」側からの論考が多い。でも、誰もが経験するように、じつは、変革の受け手、被害者になることも、多い。というか、こちらの方が個人へのインパクトとしては大きい。

たとえば、リストラされるとか、政治闘争に負けたとか、事業が売却されそう、とか左遷されそう、など変化に伴うことによって、個人がウケル影響は決して小さくないし、さまざまなケースで起こりえます。リーマンショック以降の今、そしてアメリカの失業率が10%に届きそうな今、スペインの失業率が20%な今、普通なことです。

さて、そんな変化を受ける側の視点について、まとめているのが、ハーバード・ビジネス・スクールのTodd D. Jick教授。

Note on the Recipients of Change
Professor Todd D. Jick

http://harvardbusiness.org/product/note-on-the-recipients-of-change/an/491039-PDF-ENG

ひとことでいえば、「変化を受け入れるのには時間が必要」ということ。変化に対するリアクションは、いくつかの段階を経るのだと指摘しています。いくつかのフレームワークが紹介されています。

たとえば、

1.終了フェーズ
2.中立フェーズ
3.開始フェーズ

とか、

1.ショック
2.保身
3.承認
4.適合と変化


といったもの。私たちは、「さあ、変わってください」といって、「はい、分かりました、変わります」とは絶対にはならない。そこには、まずショックがあり、そして、ディフェンシブになり、ときには抵抗したり、もがき苦しみながら、ようやく状況を飲み込んでいって、新しい世界を模索するようになるというものです。

これは、よく分かります。自分自身も、所属しているコンサルティングファームが買収されて、新しい会社に変わったときも、新しいカルチャーになじむのに、というよりは、受け入れるのに「ある時間」が必要でした。今から考えると、何でもないのですが、なぜかそのときは時間が必要でした。

企業変革のコンサルティングをしているときもしかり。クライアント側のトップが合意したとしても、チーム、組織の従業員が理解してもらうためには、ある一定の時間-これは、ときには大きな抵抗勢力にあったり、なだめたり、話しを聴いたりと大変ですが-が必要です。

逆に、もし変革を起すといって、「抵抗」が何もなければ、それは本当に変革なのか?と疑わなければいけないとも、教授は指摘しています。

こうした人間の心理的変化を踏まえて、マネージャーとして何をしなければいけないのか?この記事では、

Rethinking Resistance-抵抗を考え直す

ことを対処策としています。抵抗というのは、自然なこと、抵抗というのは変化に対する原動力になること、抵抗というのはエネルギーの源泉になること、変化に必要なこととしています。

何もこの考え方は、企業の変革に影響を受けるケースだけでなく、キャリア変化、転職、昇進などそんな場合にもあてはまると思います。

MBA2年間のプログラムは、はじめのタームが極めて忙しくストレスフルと言われます。これは、上記のモデルに照らし合わせれば、全く新しい環境に適合するための移行期であるが故に、そう感じるのかも知れません。

変化の受け手側を深く理解することによって、自分がその立場に立たされたとき、また自分が変革を主導するとき、そのどちらのときも、より効果的に動けるようになるのだと思います。
スポンサーサイト
2009-09-05 : ロンドンビジネススクール留学記 : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

T. Wakasugi

Author:T. Wakasugi
1977年東京生まれ。幼少時はロンドンで過ごす。もともとはバリバリのエンジニア志向で統計モデルを駆使した分析をしていた。ところが、数値ではさばき切れないビジネスや人間の奥深さに気づくようになり、外資系の戦略コンサルティングファームに勤務。社会人向けスクールの講師として人材育成にも携わる。その後、ロンドンビジネススクールに留学し、リーダシップ・組織・心理学について学びながら、欧州生活を家族で謳歌。現在はロンドンで経営コンサルティングと教育プロブラムを提供。ビジネスブレークスルー大学講師。学びは21世紀、最高のエンターテイメントと実感しつつ、日々精進中。最近はヨガ・瞑想にこっています。弱点はお酒が弱いこと。こんな感じですが、よろしくどうぞ。コメント、質問、MBAなどの相談など大歓迎。twk.lbs@googlemail.com

FC2ブログランキング

FC2 Blog Ranking

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR