MBA1年目の学び “貢献する責務”

最後に残った、リーダーシップに関するレポートを書き終え、内容を担当教官とディスカッション。そして、少し手直しをして、レポートをメールに添付して、Outlookの送信ボタンを押す。これにて、8月の末に始まったMBAプログラムの1年目のカリキュラムを全て終了。

そう、誰もが言うように、MBAの生活はあっという間に過ぎ去っていく。そして、私自身、その意味を実感することとなりました。

1年間、正確に言えば、この10ヶ月を経て、何を学んだのだろうか?目を閉じて、じっとこの10ヶ月を振り返る。わずか10ヶ月ではあるのですが、いくつも自分の中の考え方が変化していることに気付くのです。

変化しているという表現は違うかもしれません。今までの自分というのはそう簡単に変るモノではありません。なんというのでしょう、今までの自分の考え方に“追加”して、いくつかの新しい価値観の柱が構築されつつある、そんな感覚なのです。

そのひとつが、「貢献する責務」です。

人は、社会に対して、所属するコミュニティに対して、もしくは所属する組織やチームに対して、自分が貢献できるところがあれば、「貢献する責務」があるのではないか、そんなことを明確に感じさせてくれるMBAの1年目でした。

「社会に貢献する」なんて、至極当たり前だと思われるかもしれません。そう、事実、全くもって、当たり前のことなのです。私も、MBAに来る前からもちろん、そうしたことを大事に思っていましたし、出願エッセイにも、CSRに関しても論じました。その考えがようやく、自分の中に違和感なく溶け込んでいって10ヶ月だったと思います。

どうして、そのように考えるようになったのでしょうか。

それは、端的に言えば、こちらにきて、自分が所属している社会、組織、チームからの恩恵に比べて、自分が貢献できていることというのはあまりにも限られている、その事実に気付いたことだと思います。

だからこそ、少しでも、自分ができること、自分が貢献できることを、見つけたならば、そのアンバランスを解消するためにも、貢献する責務があると感じるようになったのです。

ロンドンにきて、こちらの生活をセットアップするのに、周りに大変助けられました。子供の学校探しからはじまり、身の回りの準備など様々なアドバイスをいただきました。

ロンドンビジネススクールで、主催されている数多くのイベント、カンファレンスなどにも、参加することができたのも、私が受けた莫大な恩恵のひとつです。ほとんどこうしたイベントは生徒の多大なボランティア活動によって支えられています。

多くのゲストスピーカーは、無償でキャンパスにきてくれ、学生のためにという思いで-もちろん、自社や自分をブランディングする目的もありますが-人によっては、海外から駆けつけてくれるわけです。

学生は、この大不況下、就職もかなり厳しい中、時間を捻出し、各種のイベントを精力的に開催しています。もちろん、そうしたイベントを開催することが、人脈作りに役に立ち、就職に有利になることはあるにせよ、イベント開催に関わる実務の煩雑さを考えると、頭が下がります。

アカデミックでいえば、スタディグループのメンバーにも、レポートの英語のチェックなどいろいろとお世話になりました。

こうしたコミュニティメンバーの貢献によって、私のキャンパスライフ、コミュニティライフが充実しているものになっていると、ひしひしと噛みしめています。

一方で、自分が貢献できることというのは、きわめて限られていると実感する10ヶ月でもありました。だからこそ、少しでも貢献できることがあれば、貢献しなければ!と駆り立てられる自分をときどき発見していったのです。

コンサルティングについてよく知っている私は、この業界に就職したいクラスメイトのアドバイスしたり、コンサルティングクラブの執行委員をしたりと、自分ができることはやろうと考えていますが、そうはいっても、受けている恩恵の方が大きいのは事実。たとえば、地域コミュニティへの貢献などはほぼゼロ。このあたりは、今後大いなる課題。

でも、こうした「貢献する心」というのは、「キャリアゴールを明確にして、それに必要なスキルを身につけて、邁進していくそうした従来型の考え方」にもとづけば、まずもって切り捨てられることでしょう。

たとえば、就職だけを考えるなら、イベント1つ企画して実行する手間ひま、労力より、就職希望先の人とネットワーキングしたり、カバーレターを磨いていった方がいいでしょう。従来型のキャリアゴールを設定して逆算する方式「だけ」を拠り所に突き進む重大な落とし穴があるように思うのです。

一方で、以前のブログでも触れましたが、企業経営についても、「社会に貢献すること」を第一義的におく企業の方が、純粋に利益を追求する企業よりも、結果的に収益率が高いことが実証されています。また、「貢献する心」、英語でいえば、Citizenshipというのでしょう、Citizenshipの高さと組織パフォーマンスは相関することも組織行動学的に分かってきていることも、「貢献する心」の大事さを物語っているでしょう。

「貢献する責務」。私が実践しきれているかといえば、まだまだクエスチョンマーク。これはこれからの課題。でも、この考え方は、この年になってようやく、自分の中に強く醸成されつつあり、これからの人生を生きていく上での指針となる、私の中のひとつの価値観となっているのを感じる至ったMBAの1年目だと思うわけです。
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2009-06-27 : ロンドンビジネススクール留学記 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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No title
どろろさん

先日、日本で少しお会いできてうれしかったです。また今度ゆっくりお会いできれば幸いです!
2009-08-18 02:06 : twk URL : 編集
No title
いつも、良い気づきをいただいて感謝しています。良い気づきは行動を変える力になります。ありがとうございます。

「貢献する責務」を負っているリーダーに、苦労を厭わない人達が集まってくるのではないでしょうか。

私はそのように思います。

(え)
2009-06-27 14:46 : どろろ URL : 編集
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プロフィール

T. Wakasugi

Author:T. Wakasugi
1977年東京生まれ。幼少時はロンドンで過ごす。もともとはバリバリのエンジニア志向で統計モデルを駆使した分析をしていた。ところが、数値ではさばき切れないビジネスや人間の奥深さに気づくようになり、外資系の戦略コンサルティングファームに勤務。社会人向けスクールの講師として人材育成にも携わる。その後、ロンドンビジネススクールに留学し、リーダシップ・組織・心理学について学びながら、欧州生活を家族で謳歌。現在はロンドンで経営コンサルティングと教育プロブラムを提供。ビジネスブレークスルー大学講師。学びは21世紀、最高のエンターテイメントと実感しつつ、日々精進中。最近はヨガ・瞑想にこっています。弱点はお酒が弱いこと。こんな感じですが、よろしくどうぞ。コメント、質問、MBAなどの相談など大歓迎。twk.lbs@googlemail.com

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